山の彼方の生息者たち
「山の彼方の生息者たち」 加藤 博二 河出書房新社
この本は、昭和12年に書かれています。それまでの山を拠点とする森林官として、経験してきたことが書かれています。森林官は国有林を管理する仕事で、植林や伐採に関わるだけでなく、盗伐を見張ったりすることも仕事もあります。そのため深山幽谷に一人で小屋住まいすることもあったようです。
この本では、主に戦前の山に生きる人たちとの交流の様子が書かれています。炭を焼いたり木を伐ったりする人たちだけでなく、定住生活をしないで竹を使ってかごなどを作るサンカといわれる人たちのとの交流もありました。
いろいろな山に行くときには、山小屋のようなところに住んでいる人に泊めてもらったり、小さな村の家にも泊めてもらったりしています。そのときに、その人たちの日常の暮らしの様子だけでなく、婚姻の様子も書かれています。限られた人との交流の中で出会い、結婚に結びつく場合が多いようでした。また、筆者のような異邦人に強い興味を持って接してくる若い女性もいたようです。
米が十分にない生活の中で、鳥獣を狩って食料としている様子も書かれています。寒い地方では、酒が体を温める手段とされ成人男性だけでなく女性や子供さえも飲んでいたこともも記録されていました。
渓流釣りで多くの沢に行きましたが、山の中であっても石垣があって田んぼが作られていたり、住まいの跡があったりと驚くことがありました。山中であっても、さまざまな生業があったことがうかがえました。
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